大学入りたての頃にデート商法にまんまと引っかかった話

あれは僕が大学入りたての頃。まだ童貞だったときのお話。

僕は、デート商法にまんまと引っかかったのであった…

デート商法とは…

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、出会い系サイト、カップリングパーティー、合コン(コンパ)、電話、街角のアンケート、電子メールなどでの出会いをきっかけとして、販売員が身分を秘匿して接近してくる。販売員は、相手と何回か会って話やデートをして相手に感情移入させた後、商品をねだって、業者の販売店に誘いこんで購入させる。中には店内の販売員数人で取り囲んだり、脅迫した末に、強引に購入させる手口もある。

(Wikipediaより)

きっかけは、家にかかってきた一通の電話だった。

この時点ですでに、賢いみなさんはツッコミを入れるだろう。しかし当時の僕は世間知らずで完全なピュアボーイだったということを前提に聞いてほしい。たぶんこの先もツッコミどころ満載になると思う。

電話の内容はよく覚えてないのだが、アンケートか何かから始まって、「この電話も何かの縁なので、今度2人で会って遊ぼう」という話になったのだ。

僕は特に疑いもせず、「世の中にはこんな出会いもあるのか」などと思いながら2つ返事でオーケーを出した。

後日、僕は指定された待ち合わせ場所へと着いた。そのときの心情は覚えてないが、きっとウキウキだったんだろう。

待ち合わせ場所で出会った彼女は、明るく人なつっこい、かわいい女性だった。自分よりは少し年上だ。プライベートなはずなのにスーツを着ていたが、僕にはどうでもよかった。とにかく女性と2人でデートするという体験が初めてなのである。

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最初は、駅の近くのカフェで、他愛ない話をしたりした。他愛なかったので内容はまったく覚えていない。「声聞いたときから思ってたけど、やっぱりイケメンだね」みたいなことは言われたかもしれない。

話をしているうちに、彼女の仕事の話になってきた。僕は仕事がどんなものかすら知らなかったので、なんとなく聞いていたのだが、どうも宝石を取り扱っているらしい。彼女には仕事で叶えたい夢があるらしく、それもやはり忘れたのだが、どんな仕事をしているのか、仕事のやりがいはどうとか、そして、宝石のすばらしさについて熱心に語りかけてきた。僕はよくわからないけど聞いていた。正直あんまり興味はない。

そしてついに時はきた。

「近くに職場があるんだけど、ちょっと寄って行かへん?見せたいものがあんねん」

僕は、特に何も疑いもせず「いいよ」と言った。ちなみに彼女は関西弁だった。

彼女はきっと自分の仕事に誇りを持っていて、僕に見せたいんだろう。それくらいのことしか考えてなかった。

彼女に着いて行くと、いろんな宝石やアクセサリが展示されている、ビルの中の小さなショップのような場所に案内された。

売られているものはどれも30万とかする高価なものばかりで、そんな価値などわかるわけない、プレイステーション2を買うのにも断腸の思いをする僕は、目の前にいながらもまるで別世界にいるような、「わーすごいなー」とどこか他人事のように眺めていた。

そのうち、彼女がセールストークをかましてきた。だいたい内容はこんな感じだった。

「ダイヤモンドを使ったネックレス(約30万円)があんねんけど、買ってみーひん?」

「今は価値がわからんかもしれんけど、ぜろみやくんが将来結婚するとき、このダイヤモンドを指輪に加工することができんねん」

「言うてみれば、結婚指輪をもう今のうちに買ってまうという選択肢やな」

「しかも、ネックレスにして常に身につけておくことで、このダイヤモンドに魂を込めることになる。結婚した相手に、自分がずっと身につけていたダイヤモンドを渡すことができるんやで」

「普通は高くて手を出せへんかもしれんけど、うちで買うたら36回ローンで月々1万の支払いで済むで。」

どうだろう、とても怪しい。怪しすぎる。

しかし当時の僕は、普通に「なるほどー」と感心していた。これが無知である

30万という、大学生がつけるには高額すぎるアクセサリーを僕はこのセールストークで完璧にその価値を植え付けられ、そして買うことにしたのだ。

買うと決まったあとは、もしかすると察しのいい皆さんは予想できるかもしれないが、奥の個室に通された。そしてそこにはやはり、いるのである。怖い顔のおじさんが。

漫画のような話は実際に存在する。

とはいえ、僕は既にその時点で洗脳されきっているし、おじさんの顔が怖かろうがなんだろうが脳死状態で商品を買うことにしていたので、「奥の個室に通され、怖い顔のおじさんと話をする」という状況も別に不自然と感じなかった。なんなら僕の親のほうが顔は怖い。

こうして僕は、ローンとか利率とかそんなん知らんし、とりあえず「1ヶ月1万円を36回払い続けるだけで、このすごいアクセサリーが手に入る」くらいの感覚で、クソ高いアクセサリーを購入したのだ。今もなお、その時買ったアクセサリーが、僕の身につけるものの中で一番高い。

ちなみに、そのダイヤモンド偽物では?と思うかもしれないが、鑑定書つきで、紫外線に当てるとちゃんと光るので、おそらく本物だろう。これで例え偽物だとしても、本物で突き通すことにする。

下の写真が、そのとき買ったアクセサリーである。

思ったよりよくない?

そう、案外しっかりしているのだ。果たして30万の価値があるのかは今となってもわからないが。大学生の間はほぼ毎日のように身につけていたが、卒業してからはそもそもピアス以外のアクセサリーをつけなくなったので、今では箱の中で眠っている。

騙された(といより、どちらかというと悪質商法の類だが)と知ったのは、その後怖い顔の親に請求書が見つかりめちゃくちゃ怒られたときであったが、うちの親はその辺けっこう理解があるので、もう二度と騙されないようにと、僕に世の怖さを教えてくれた。

僕はこうして、人生のかなり早い段階で人に騙されたことで、騙しに対する耐性がついたのだった。

世の中には騙す人がいて、騙される人がいる。無知であればそれだけカモにされるのだ。僕の場合はまだお金もない学生だったし、まぁ物としてはそんな言うほどガラクタなわけでもないし、親の顔が怖かったため結果的にそこまでダメージはなかったが、いい大人が騙されるのは見ていて悲しいものがある。

ちなみに彼女とはそれ以来会うこともなく、連絡もすぐにとらなくなった。今となってはどのように生きているのか、あんな仕事さっさとやめて普通に主婦でもやっているか、案外夢をつかんで輝いているかもしれない。

まったくもってどうでもいい話ではあるが。

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